大地って、何に怒ってるの?
 
              HR業界歴18年のインビジョン。
採用とは「世の中にどう役に立っていきたいか、というノリの合う人のつながりを生むこと」だと定義して、早3ヶ月が過ぎた。
自社採用においても一緒に働きたい人物像を定義し、「あー、自分がやりたいのってこういうことだわー」と伝わるコンテンツをお届けしようとアンテナを張る日々。
そんな中、人事チームのアンテナにどうしても引っかかる人物がいる。
今年4月に執行役員・営業本部長に就任した大地さんだ。(上記写真は河北新報を読む幼少期の大地さん)
大地さんは、いつも少し怒っているように見える。
誰も寄せ付けない集中力で事業計画をまとめているかと思えば、社内のどこにいても隠しきれていない声量で営業メンバーに本音のフィードバック。数字もチーム力も、大地さんが絡むとなんだか「締まる」。
一方、ママチャリで愛娘のふーちゃん(3歳)のお迎えに行ったり、休日もメンバーを引き連れビーチラグビーの試合に出たり、定期的に前職の後輩や実の妹を会社に連れてきて仲間入りさせたり…。ある意味この世で一番「アットホーム」(似合わね〜)な働き方を自でいっているとも言える。
一つ明確なのは、社内でもっとも「日本をよくしたい」と公言しているのは大地さんだ。
弊社コーポレートサイトのトップに掲げている「甦れ、日本のチーム力」。
この言葉の出どころも、大地さんなのだ。
大地さんにとって「日本をよくする」ってどういうことなんだろう?なぜそう思うのだろう?どう体現していきたいんだろう?
そこにシンパシーを感じる人とは、もしかしたらすごくノリが合うかもしれない。
ということで、大地さんの価値観や原体験を深堀りすることに。
聞き手には超外向型、人間に対する好奇心が社内イチの智菜さんを召喚。
どストレートな問いから開始した取材を、対談形式でお送りします。
共同体ってことなんですよ、世の中は。

智菜:私、何聞こうかなって考えてみたけど、1個だけだったわ。大地って、何にそんなに怒ってるの?
大地:初めて聞かれましたけどね。何に怒ってんのかって。でもね、確かに僕の原動力って怒りなんですよ。生きてて、むちゃむちゃムカつく!っていう時がすげえあるんですよ。
…でも、パーン!って思いつくのはやっぱ1個で。自分のことばっか考えてても機能してる世の中がすごく嫌なんすよね。てめえの利益しか考えてない言動、事業、政治……。
智菜:例えばどういうこと?
大地:僕、靖国神社によく子ども連れて参拝にいくんですよ。靖国の地って、「国のために戦ってくださった英霊に尊崇の誠を捧げる」ために行く人が多いですけど、自分の考えは少し違っていて。戦争を経験していない世代の中には「ご先祖様はお国のために亡くなった」と美談のように語る人もいる。でも実際にはむちゃむちゃ反発して生きて帰ってきた人もいるし、死にたくないのに死んでいった人がいる。そういう歴史を知って、「自分の頭で考えて生きろ」って教えてくれるのが靖国の地だと考えてます。僕は自分で意思決定をして生きて帰ってきた特攻隊員の佐々木友次さんという方を尊敬してます。でも同調圧力を強いる権力者がいて「行きたくない」と言えない空気や環境があったという事情もわかる。そんなご先祖様方の「おかげさま」で今の生活があるんですよね。だから、自分のことばっかり考えるんじゃなくて、ちゃんと周りの人の幸せも考えた意思決定をして生きて行かないと。
「共同体」ってことなんですよ、世の中は。他者がいて自分がいる。そうやって相手のことを思いながら発展してきたのが日本で。それをすっかり忘れて、自分中心で生きてる大人がわんさかいる。そこへの怒りが強烈にあるんですよね。
世の中をどうみるか、語る切り口があるか。

智菜:でもさ、そう考えるようになる原体験が絶対あるんだと思ってて。それは何なんだろう。
大地:原体験ね〜…絶対聞かれると思って、この前伊勢神宮に行って考えてみたんですけど、これ!っていうのが思い浮かばなかったんすよね〜…
でも、じいちゃん、ばあちゃんの影響が大きいんですかね。昔から家族が集まると絶対政治の話になってたんですよ。父ちゃん、母ちゃん、両方のじいちゃん、ばあちゃん、6人全員思想はバラバラで、酒飲んで喧嘩しながら話してましたね。
家族の中でいちばん考え方が近いのは父方のじいちゃん。「社会インフラを商売にしちゃいかん」とずっと主張しながら活動してた人で。例えば、医療・介護・福祉・電気・水道・ガスという社会インフラまでも商売にしようとする動きに反対してて。ここにかかるお金が高くなると、お風呂入れなかったり、治療も受けられなかったり、命が危ぶまれる人が出てきますよね。そんなのやっぱダメっすよ、絶対。
あと僕、5歳の時に初めて当時の天皇陛下を見たんです。地元・仙台の多賀城のあたりに皇族が来ると、しょっちゅう母方のばあちゃんによく連れられて、国旗振ったりとかして。この前ばあちゃん、天皇陛下から藍綬褒章っていうのをもらったんですよ。天皇陛下から内閣総理大臣を通じて地域の使命感を持った人たちが任命されて、非行少年を更生させる活動があるんですけど。その与えられた任務を使命感もって30年間やってたんです。その精神性はすごく理解できるんですよね。
智菜:原体験、めちゃくちゃあるじゃん!6人全員思想がバラバラってのも面白いね。
大地:そうですね。だから僕、自分と同じ考えを持ってる人と関わることが大事だとは思わないんです。ただ、国家観を持っているかは大事だと思います。
智菜:国家観を持つって、どういうこと?
大地:世の中をどうみるか、語る切り口があるか。自分で見て聞いて調べて、経験して「これがいい」ってちゃんと学ぶ。これは関わる人にはあってほしい。「2000年以上続くこの領土で、こういう民族的な営みが行われてきて、だから今自分がいて…」という精神性を理解してリスペクトを持てるかどうか。そういうコミュニティで意思決定したのであれば、失敗してもしょうがない。そう言えるかどうかが、今日本に必要な同胞意識、最初に言った「共同体」だと思います。
GDPなんかで測れないですよ、日本の豊かさなんて。

智菜:確かに。採用もそうだけど、どっぷり浸かってきた哲学とかカルチャーが重なってないと、同じ価値基準持てないもんね。
大地:あ、それこそね、この間読んだ本に「日本の不景気の原因は共同体意識だ」って書いてあったんです。どういうことかというと、合理主義の国では業績が低迷してきたらまず社員を1人辞めさせて、他の人の賃金を上げる。辞めさせた1人も市場に出れば最適な仕事が見つかるだろう、っていう考え方で。でも日本の企業は、みんなの賃金が少し下がったとしても、1人も社員のクビを切らないじゃないですか。「そのせいで社員の意欲が下がるし、適材適所にならずに経済が成長しない」ってその本に書いてて。
智菜:うわ、むっちゃ嫌いな考え方!
大地:でしょ!業績がヤバくても、雇用を守り続けるのが日本じゃないですか。自分のことばっか考えるやつがトップだったら、100年も200年も続かないですよ。日本っていう国自体が、そもそも。GDPが世界2位から4位に下がって…って騒がれてるけど、GDPなんかで測れないですよ、日本の豊かさなんて。戦後80年、なんでここまで経済的に豊かになったかなんて、説明できない。だって日本人が本当に動くところって経済合理性じゃないんだもん。「義理人情」だと思うんですよね、日本の強さは。もちろん、自分たちだけじゃやっぱり無理で、他の国にも助けてもらいながら。その結果、200年以上続く企業が世界一多いのが日本、っていう……いや、本当すごいですよね。
足元の「身近な人を幸せにできてるか」

智菜:色々ひっくるめて、結局のところ何が実現したら大地は幸せ?
大地:そうっすね〜…なんだろうなあ…(しばらく考え込んで)「国家観」みたいな大きな話をしてるようで、実は一番テンション上がるのは、やっぱ身内がめちゃくちゃ幸せになってほしい。身内っていうのは血縁じゃなくてもいいんです。仲間でも地域でも、世話になってる人たちが「いい感じ」になるみたいなのが一番いいんですよ。
僕3人兄弟の長男なんですけど、弟が経営してる会社をちょっと手伝ってるんですよね。で、9月から妹も正社員入社するんですよ。それまで妹は仕事がうまく行かなくて生活も本当ヤバくて。もうどうしようもなかったから、「これくらいやったら正社員入社」って言う条件で実験的に働いてもらったら、よくやってくれたんで。「こんぐらい渡すわ」って言って提示した額は、妹にとって今までで一番高い額だったんですよね。でも全然貯金もないから、もう強制的に月5万差っ引いて貯めさせてるんです。それで母ちゃんもすごい安心して。家族が超ハッピーな感じになって、これは最近なんか、いや、いいことしたなって思いましたね。
智菜:なんだ!ただのいい兄ちゃんじゃん! 対象が家族でも国でも、人のために、っていう「利他」の気持ちだよね。その根底には感謝の気持ちとか、大切に思う心があって、それが異常に強い。共同体、日本の良さともつながるよね。
大地:「日本を良くする」って、結局はそういう身近な共同体を良くしていくことの積み重ねだと思ってて。「国家観」って大きな話をしてるようで、実は身内がどんな世界で生きてほしいか、ってだけなんですよね。でも本当に思ってるかどうかって、言葉じゃなくて行動で示せるかどうか。足元の「身近な人を幸せにできてるか」ってことがすごく大事なんだと思うんです。
智菜:なんで怒ってんのかなって思ってたけど、大地が何考えてるか、やっとわかったわ。てめえのことばっか考えてんじゃねー!ってことね。
・・・・・・私たちが生きているのは、ご先祖さまや生まれた国、地域、身の回りの社会の「おかげさま」で。そこに感謝をしながら、自分にとっての幸せ、大事にしたいものが何か、ちゃんと自分で考えて行動に落とす。 それが次の人につながっていく。私たちの甦らせたい「日本のチーム力」って、そういうことなのかもしれない。
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この記事を書いた人

出汁屋/広報
田野 百萌佳
ルーツを探り、五感と語感で表現するライター。炭都・福岡田川を脱出し首都・東京渋谷でザ・文系大学生活を謳歌。カッコつけずナチュラルに企業の想いをカタチにする仕事を探し求めインビジョンに新卒入社。求人原稿、採用広報記事、ブランドストーリー、コピーライティング...いろんな言葉を練っています。特技は妄想。



