アラームじゃない。目覚ましなんだ。
いつになったら、善い人間になれるんやか。
なんとも他人事な問題定義から失礼します。
人事になってもうすぐ1年。
採用とは「世の中にどう役に立っていきたいか、のノリが合う人のつながりを生むこと」という長い定義も、脳を介さず口から出るくらい、心身に染み込んできた。
その過程を記録するように採用広報記事を書き、同じ想いを持つどこかの誰かに読まれ、応募につながり、面談し、採用につながり、同じチームのメンバーとして一緒に働く。
HR企業歴7年目にして、初めて採用の醍醐味を肌で感じている。
新メンバーが新鮮な視点で発信してくれる茶豆日記(日報)を読むたび、元々重なる部分のあった「世の中にどう役に立っていきたいか、のノリ」がどんどんシンクロしていくのを感じて心強い。
そのたびに頭をよぎる。
「私、いつになったら、善い人間になれるんやか。」
自分の在りたい像がチームと噛み合っているから今ここにいる、という自負はある。行動を積み重ねるのみだが、そこが鬼門だ。
意気揚々とアラームをかけたものの、いざとなると何度もスヌーズに頼るあの感じ。
放っておくと、二度寝を繰り返すであろう自分のために、この他人任せな問いと向き合っておくことにする。
才能ではなく、受け取る力 + 環境?

一方その頃、インビジョンでもある事件が起こった。
ことの発端は、2026年1月5日。新メンバーの初出勤というイベントも重なった仕事始めの日。
みんなで初詣に行ったり、書き初めをしたり、日下さん特製の新潟流お雑煮をいただいたり、新年の節目に相応しい催しが目白押し……。
しかし、オフィスは予想以上にがらんとしていた。
インビジョンの行動指針「おダシ十ヶ条」にも「大事なことは直火で話せ」という項目がある。
2年後の20期、例えるならば採用・組織づくりの領域で「東京都ミシュラン選出」レベルのチームを目指す私たち。
人間として、日本人としての基礎をおざなりにするのはもってのほかだ。
そんな出来事があると、行き着くのはいつも同じテーマ。
「人間・組織の行動を変えたい。けど、なんでこんなに難しいの?」
永遠の問いに終止符を打つべく、誠吾さんがとある実験を始めた。
その名も、
「人は原理原則で動く シンプルに行動喚起する魔法 行動習慣プロジェクトJOBTRIP」
「もう、誰かにお尻を叩いてもらってでも成長できるんなら!」と、Googleスライドのページが進むのを渇望していた私の脳内には、早くも次のターンで予期せぬ警報が鳴った。

受け取る力の尊さは、重々承知なはずだった。
本当にそうであれば、私はとっくに善き人間になれているはずなのに……。モヤモヤしたまま、机に向かって自分の伸び代を整理しようとするが、なかなかしっくりこないまま数日が過ぎてしまった。
締め切りが全てなんね?

そんなタイミングで帰省が重なった。
実家ではいつも、アラームより先に母の声で起きる。
ただでさえ仕事で早起きの母は、家を出る私の分のご飯を欠かさず用意してくれる。
私が二度寝している間に。
そのくせ、仕事の話をする間はなんだか自分が立派な大人になったような錯覚に陥る。
案の定、すぐに気のせいだと思い知らされるのだけど。
私は、何度も口酸っぱく言われながらやらずじまいになっていることをいくつも抱える性分だ。
しかし親元を離れ10年も経ち、仕事のノリで「必要な時に日付切ってやればいいやろ」と構える私に、母が痺れを切らした。
「締め切りが全てなんね?」
その瞬間、クッと何かがこみ上げた。
私、期待を込めて人生の時間を費やしてくれた人たちの気持ちを、どこかで甘んじていたのかもしれない。
常に「自分を大切にしなさい」と教えてくれた両親、未だにたまーに電話すると泣いて喜んでくれる祖母、親同然に、働く大人の面白さと責任を示してくれた先生……そんな恩人たちに最後に連絡したのはいつだっけ。
「締め切り」というアラームかけて、恩返しの機会を逃し続けちゃってた。年甲斐もなく涙が溢れ出す。
JOBTRIPのはじまり、はじまり
悶々としながら、誠吾さんの実験資料を見返す。

実は最初に見た時から妙に印象に残っていたスライド。
私がなりたい善き人間って、身口意が一貫してる人だわ。
これまでの出会いの中で感じたありがたみを、言動で示す。本物の「受け取る力」ってこれかも。
私は、与えられたものをただ「ありがたい」と感じているだけだったのかもしれない。そんなんでは、締め切りすら守れないよな。

自分の現在地を直視し、目が覚めた。JOBTRIPのはじまり、はじまり。
毎日を楽しく過ごしておりますか

私が上京するちょうどその日に亡くなった祖父からのメッセージ。
達筆だった祖父は、だんだん字が書けなくなる中で手帳に私への手紙を遺していた。
このシンプルな一言がいつにも増して沁みる。
「毎日」にはやがて終わりが来る。
ついありがたみを忘れてしまいそうな「目覚まし」の積み重ねが、善き人間・チームへと成長させるのだ。
「いつになったら」と耽っている大人たちへ。
毎日を楽しく過ごしておりますか?



