「すみません、できていません」はなぜ起こるのか?

2024/6/5
2024/6/5

血の通ったチームをつくるべく日々組織に向き合っている人事・経営者の皆様、こんにちは。戦略人事・広報の坂牧です。これまで人間の心について掘り下げる日々を楽しんでいましたが、ここ最近は政治・経済・歴史にもっぱらハマっておりまして、ついに人間界全体を楽しんでいます。

さて、今回のテーマは、「なぜ、やるべきことをやれないのか」。

「◯◯くん、頼んでたアレできた?」「すみません、まだできてません…」
働いている中で、必ずと言っていいほど出くわすこのやりとり。やることが決まっていたのに、なぜかやってこない。なんでだよ!…と声を荒げるかはさておき、リーダーであれば、一度は頭を悩ませたことがある問題ではないでしょうか。

いったいぜんたい、なんでそうなる?どうやって対処するのがベストなのか。
社内でのコミュニケーションをもとに考察した見解を、今宵も語らせていただきます。

 

もしかして、やる気ないんじゃないか?

決められたことを決められた期日でやる。当たり前のことです。
しかし人間誰しも完璧ではありません。一度や二度はそんなこともあるでしょう。

しかし、気づけば毎回やってこない。またこの人だけタスクを完了していない。
何か言ってくるかと思って待ってみるが、ノーアクション。
痺れを切らしてこちらから声をかけると、反省顔で「すみません、まだできてません」。
まだと言われても、期日はもう過ぎている。こちらが何も言わなかったらどうするつもりだったんだろう。申し訳なさそうな顔はするが、毎回やらないし、自分から言いにも来ないし、もしかしてコイツ、やる気ないんじゃないか…?

といった具合で、やってこない=やる気のなさや当事者意識の低さが問題だと思っている人は一定数いるのではないでしょうか。何を隠そう、私はそう思っていました。

が、実際はそうではありませんでした。

 

抜け出せない真っ暗なトンネル現象

弊社では、メンバーの自己成長に伴走する1on1制度があります。
1on1をやっていると、やはり「まだできていない」というセリフを聞く場面も当然増えるわけですが…私は1on1や日々の業務の中で、ある共通点に気づきました。

それは、「真っ暗なトンネル現象」です。

やらなくてはいけないことはわかっている。けど、どうしたらいいかわからず止まる。
どうしようかと考えている間に、期日が来て後戻りできなくなるという現象です。

相談したらいいじゃないかと言いたくもなりますが、何を聞けばいいのかすらわからない。まさに真っ暗なトンネルに入り込み、右も左もわからないような状態。手も足も出せない迷子状態の中、やるべきことは他にもあります。他の業務を前に倒しながら、「後でなんとかしよう」と後回しにし続けた結果、最終的に事故ってしまう。それはやる気の問題ではなく、本人にとっても不本意な結果だったのです。

 

人間心理から紐解く後回し癖

このトンネル現象がヒントになり、なぜこうなってしまうのかを考察することにしました。そこで、私がなるほど!と納得した二つの人間心理をもとに、紐解いてみることにしましょう。

一つ目は、「単緊急性効果」=重要度が低くても、
締め切りが近いものを先に終わらせてしまおうとする心理
二つ目は、「曖昧性回避」=不確実な状況を避けようとする心理です。

これらを掛け合わせると、下記のようなマトリクスができます。

先延ばし癖の原因

物事の優先度も、何をすべきかもわかっていれば、問題なく進めます。全軍前進状態です。
しかし、他のパターンの場合はそうはいきません。

やらなきゃいけないとはわかってるが進めない「迷子状態」

私がよく遭遇していたパターンはこれでした。
やらなきゃいけないことはわかっているが、具体的にどう進めたら良いかがわからず、本人は焦りとストレスに苛まれている状態です。進められていない自分をわかっているので、他人からの評価を恐れ、余計言い出せなくなりがち。幼少期から「自分でなんとかしなきゃ」と生きてきたタイプに多いかもしれませんね。私自身はこの状態に陥ると、脳の中が黒ペンでグルグル塗りつぶされた感じになります。

余裕をなくして優先順位を見誤る「圧迫状態」

この手の人は、やるべきことにいつも追われて何やら忙しそうなタイプです。
緊急度の高い(と感じる)目の前にふってくるタスクに奔走しがちで、優先順位をバグらせがち。本人は沢山の業務をこなしている感覚があっても、周りから見たら重要度の高いタスクを逃すので、自己評価と他者評価のズレが大きくなります。やりやすいものからやりたくなるのも人間の性質です。簡単なタスクを片付けちゃうのは、脳の疲労回復には良いんですけどね。

何もかもわからず放棄する「逃避状態」

重要度もわからないし、具体的に何をやるべきかもわかっていないとなると、ほぼ投げやり状態になります。なんでこれやんなきゃいけないわけ?と心の中でブツクサ言いながら、こんな感じでやっときゃいいでしょと手を抜いたり、やること自体をスルーしたりします。本人の中ではぬるっとその仕事がなかったことにしてる場合もあったりなかったり。一種の現実逃避状態です。人間は都合よく記憶を消せるみたいです。恐ろしいですね。

 

解決策:やるべきことを微塵切りさせよ

以上のことから考察すると、大体やるべきことをやれてない要因は下記二つになります。
①重要度が腹落ちしていない
②具体的に何をすべきかわかっていない

①の場合は、
・明確に日付を切る
・業務や目標に対し、「なぜこれをやるべきか?」という背景を伝える
・それをやることによるインパクトを伝える
・腹落ちしてないポイントや引っかかりをすり合わせる
といった解決策を実施するといいと思います。

問題は、②の場合。私的には、この人口がものすごく多いのではと踏んでいます。

ロードマップを使って、プロセス分解力を身につける

やるべきことの微塵切り、つまり細かくプロセスを分解すること。
「売上◯円」「◯◯資料を完成させる」など、やろうとしている球が大きすぎるから、まず何を踏み出せばいいのかわからなくなるのです。やろうとしていることに対し、経験や知見がないほどこの状態に陥りやすくなります。

①ゴール状態と期日を確認
②そのゴール状態に持っていくには、どういうプロセスで進めていくべきか?言語化。
いつまでに具体的に何をすべきか?ロードマップに落とし込む。(脳内でシミュレーションできるくらいの具体的な粒度で言語化するのがポイント!ざっくりとしたものでは意味がない)
③上司が確認し、フィードバック
④メンバーは細かくなったそのアクションをタスクとしてスケジュールに入れて実行

このトレーニングを日常でやっていけば、プロセス分解力がついて、迷子状態から抜け出せるはず。とにかく微塵切り!いつも微塵切りです。ちなみに持ち前のセンスでこれまでやってきた系の上司は、このプロセス分解が苦手だったりします。上司側も必須訓練です。

 

最後に

さて、そろそろカフェも閉店の時間のようで、執筆も締めに入ります。

やるべきことをやれないメンバーがいる場合、まずは「迷子状態」「圧迫状態」「逃避状態」のどこに分類されるのかを分析し、解決策を提示してみてください。合言葉は、微塵切りです。
人間ってやつの解像度をあげながら、血の通ったいいチームを一緒につくっていきましょうね。

▼育成に関して、役立ちそうな記事もいくつかご紹介しておきます

 

人間界普遍の原理原則を踏まえた組織開発プログラム「ダシトレ」

私たちは、世界最古の血筋を今日まで承継する国、100年以上続く老舗企業の数が世界一の国・日本に生まれ、働いています。歴史に学ぶと、いつも日本は「チーム戦」でした。
ところが今日の世の風潮は「チーム/組織<個」。自分のことしか考えていない、忠恕の足りない人が多い現代に、日本の根本的危機を感じずにはいられません。
いいチームをつくるには、原理>方法論。人間界普遍の原理原則をおさえた上で、方法論を学ぶことが大切です。

琴線に触れるものがあれば、是非とも対面でお話を訊かせてください。

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