なぜ結構好きだった3年目のあいつは、会社を辞めていったのか?

2024/5/30
2024/5/30

ダシトレ事業責任者の佐々木です。
 簡単に自己紹介をさせてください。21歳でホームレスとなり日本や世界を旅した後、公務員になりましたが、方法論だけの表面的な働き方改革と組織運営、学びの意欲が低い組織に嫌気がさし、2年ほどで退庁しました。
 その後は代議士の鞄持ちや青年部の運営等政治活動を経て独立、官民連携仲介システムを開発し、500を超える企業と100を超える行政の連携を支援してきた過去があります。

 今回のお話は、その会社を経営していた頃の社員第一号とのお話です。失敗談を赤裸々に書いていますので、最後までお楽しみください。最近つくづく思います。人間てやつは、めんどくさいですね。そこが面白いのですが。

 

なぜこんなにも考え抜かないのか?

考え抜く力=人間らしさ

 そもそも考え抜く力は脳の”前頭葉”で司られています。動物界で言うとチンパンジーがもっとも大きいと言われており、前頭葉の大脳の約7~10%を占めています。では我々人間はどうでしょうか?実に大脳の約30%も占めており、全生物の中で圧倒的な数字を誇ります。”考え抜く”という脳にとって非常にエネルギッシュな活動は”人間らしさ”の一つと言えるでしょう。

前頭葉を全く成長痛にしない恋愛マッチングアプリ

 考え抜く力、を定量的に評価できる絶対的な基準がないのであくまでも主観ベースの話にはなりますが、現代の日本人は考え抜く力が弱くなってきていると感じます。それはなぜか?前頭葉を全く成長痛にしないで生きているからです。

 例えば恋愛マッチングアプリ。今や恋愛においてインフラ的存在になるまで普及し現代人には欠かせないものとなってしまっておりますが、私はこの”人と仲良くなるまでのプロセス”をすっ飛ばした仕組み自体に危機感を覚えます。
 相手の生物学的特徴や趣味嗜好がわかりやすく可視化され、相手がある程度、自分のどの辺に興味がある状態か分かった状態でのアポイントが約束され、デートプランまでレコメンドされ、、、と考える力や想像力を削ぐ機能が至れり尽くせりです。本来であれば初めましてから仲良くなり、交際に至るまでに「相手がどんな人なのか?」「何をしたら喜ぶのか?」「自分は魅力的に感じてもらえているのだろうか?」想像し、考え抜き、改善を回していくと思います。

 確かに本来の恋愛のプロセスは非常にストレスフルなものです。それをすっ飛ばしてさまざまな出会いを楽しめるものは、現代人にとっては魅力的に映るでしょう。しかし、考え抜く力=人間らしさを衰退させるであろうテクノロジーに埋もれる現代人は、なにを使う事が自分にとって本質的なのだろうか?と常に考えることが必要だと感じてなりません。

考え抜かないメンバーにむかつく経営者への処方箋

 前置きが長くなりましたが、経営者であれば会社のメンバーに対して「なんでこいつはこんなにも考えないのか?」とメンバーイラついた経験がある方が少なからずいらっしゃると思います。私自身も例外ではなく、相手の仕事に対する向き合い方やタイプを見誤り、「考えたらわかるだろ!」的なコミュニケーションをとった挙句、結構好きだったメンバーに退職された実体験があります。

 同じような経験をされ、メンバーにムカついておられる全ての経営者と、過去の自分への処方箋として”SL理論”を贈ろうと思います。

 

3年目のあいつの退職

 「脳に汗をかき、自分の意思決定で仕事をしていく。なんて素晴らしい環境なんだろう!」
私は心からそう思っています。ただ、当たり前ながらみんながみんなそうではありません。過去の自分の赤裸々失敗談をここに綴ろうと思います。

不平不満だけをごちゃごちゃ言わずに、提案してよ

 新規プロダクトチームに3年目の結構自分と仲の良い営業がいました。前職、前々職でも同じ職場で、自分が会社を作る時に社員の第一号としてジョインしてくれるくらいの仲の良さでした。前提、新規プロダクトの営業は難しく上手くはいかない事が多いので「直接お客さんに提案した感じから改善点を拾い上げて、こうした方がいいというフィードバックを頂戴」と伝えておりました。
ただ待てど暮らせど提案がなかったので情報を取りにいくと、すぐに何も前進していないことに気づきました。話を聞くと、そいつは売り上げがなかなか上がらない理由や、プロダクトに対する違和感だけは一丁前に話してきます。自分自身であればプロダクトに対しての違和感を感じた時に「こうした方が良くないですか?」とリーダーに”具体的な提案”を持っていきますし、それが当たり前だと思っていました。ただ3年目からは具体的な改善の提案がなく、ただの不平不満だけをごちゃごちゃ話されました。

 人間は自分を棚に上げて他責にすることに関しては無限の力を持つといいます。そんな彼のスタンスに苛立ち「なんでいつもお前からは提案が上がってこないんだ。考えて働いていない証拠だ」というようなフィードバックをするようになってしまい、いつしか衝突が起こるようになってきてしまいました。
 口を開けば喧嘩ばかり、もちろんその後も改善は見られませんでした。 「なんでこんなにもこいつは考えないのか?そんなコミュニケーションとられたら、こっちだってむかつくに決まってるだろ。」私は自分自身のマネジメントを全く振り返らず「自分の言っている事が正しい、相手のスタンスが間違っている」と他責思考全開で向き合い続けることになります。

すごく可愛がったメンバーでも、すぐ辞める

 イライラしていた矢先、想像もしていなかった事態が起きてしまいました。

 その日の私は地方出張。佐賀空港から羽田空港に着いた時、電波の復帰とともに「今日夜時間ありますか?」と連絡が届きました。普段は絶対自分からは誘ってこないあいつからのこういう類の連絡は、ポジティブ連絡だったためしがありません。案の定「ニーズがわかりやすく、売りやすいもの個人向けに売っていきたい。」と言う理由で退職したい旨を告げられました。

 「水しかねえよ。」そう言った私を背に、結構仲が良かった3年目のそいつは会社を去っていきました。

 

処方箋は”SL理論”です

 一連のプロセスのどこに問題があったのか?100%自分がコントロールできる範囲で考えると、自分のマネジメントの方法に問題があることに気づきました。
 (先に述べますが、どこに当てはまるから良い悪い、というお話ではありません)

SL理論(Situational Leadership)行動心理学者ポール・ハーシー

 結論、過去の私は”指示型=細かく具体的な指示命令を与え監視しないとそもそも機能しない”人間に対して、”委任型=意思決定と問題解決の全責任を任せる”マネジメントをしていたのです。「自分の頭で考える」言うのは簡単ですが、課題を特定して筋の良い解決策を導くことは容易なことではありませんし、人間的にもビジネス的にも高いレベルが求められます。
 にも関わらず「仲良いし、付き合い長いからわかるっしょ」的な軽いノリで委任型で仕事を任せてしまっていました。これを理解せず仕事を任せて勝手にイライラしていた私でしたが、原因はやはり自分のマネジメントにあったわけです。

 なかなか機能しないメンバーがいる場合、四章限のうちどこに該当するのか?を考え直して見ると、そもそもイラつく事がなくなると思います。

 

IQの高すぎるフィードバックをしない

 前提”貴方は圧倒的”なのです。24時間365日経営に向き合う貴方とメンバーとでは、そもそも思考の総量、地頭の良さ、潜ってきた修羅場や逆境の総量、受け止められるキャパが圧っっっっっっ倒的に違います。だからこそ、メンバーとは謙虚に向き合うことを強烈に意識する必要があります。フィードバックの目的は”チームの前進”です。自分のフィードバックが「本当に成り立つのか?」言葉や伝えるタイミングをしっかり考えましょう。

受け取る側の”地頭”も強烈に意識する

自分の頭で考えて課題を特定し、筋の良い解決策を導くためには地頭の良さが必要なります。課題特定や解決策がそこじゃねえよってなる事、ありますよね。それをフィードバックをする際は相手の下記を強烈に意識してコミュニケーションを取ることが重要です。

相手のキャパ = IQ(知能指数:理解力)×EQ(感情指数:フィードバック耐性)×AQ(逆境指数:胆力)

 辞めていった3年目のあいつは”意図的に考え抜いていない”のではなく、現状本当に考え抜く事ができないだけなのです。そして往々にして本人はそれに気づいていないケースが多いです。ですので、貴方が”SL理論”と”相手のキャパ”を意識したマネジメントをすることが、一番即効性のある処方箋となりますし、イライラの総量も減っていく事でしょう。人間関係でバグが起きる時は、結局自分自身に原因があると言う事です。

 

最後に

 自分自身のマネジメントの方法は学び改善していける事だと思います。ただメンバー自身のレベルアップも併せて実施していく事必要があります。

 一部事例を紹介させてください。メンバーの人間的な基礎スキルをスコアリングできる独自サーベイを開発しており、その結果をもとに考え抜く力を搭載させる人材育成プログラムを開発しております。このプログラムが全国各所の学校や地方自治体に導入され、全国の学生に向けて”よく考える力”のトレーニングを実施してきました。

 このプログラムの受講に遅い早いはなく、最近では幹部向け社内研修として導入してくださる企業が増えてきております。プログラムの内容や詳細が気になる方は是非とも佐々木までご連絡ください。対面でお話ししましょう。

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